妊娠中に葉酸を摂取するメリット、一日の摂取基準、多く含む食品

 産婦人科で妊娠が確定すると、葉酸を積極的に摂取するように指導されます。妊娠中に葉酸を摂取すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?摂取すればするほど、その効果は高まるのでしょうか?

 妊娠中に葉酸を摂取するメリット、一日の摂取基準、多く含む食品を紹介します。

妊娠中に葉酸を摂取するメリット

 妊娠中に葉酸を摂取すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。葉酸の働きと一緒に、時期別のメリットをみていきましょう。

葉酸の働き

 葉酸はビタミンB群の一種で、水溶性の栄養素です。葉酸は、たんぱく質、細胞をつくるのに必要なDNA(遺伝情報を格納する核酸)やRNA(遺伝情報を伝達したり、たんぱく質を合成したりする核酸)の生合成を促し、細胞を生産、再生するサポートをします。

 また、ビタミンB12と共に、赤血球を生産したり、ホモシステイン(動脈硬化の危険因子)をメチオニン(肝機能を高める必須アミノ酸)に変換したりするサポートをします。メチオニンには、血中コレステロール値を低下させる効果があると考えられており、葉酸とビタミンB12を摂取することで、虚血性心疾患を予防できるといわれています。

妊娠初期に摂取するメリット

 先述したように、葉酸は、細胞をつくるのに必要なDNAやRNAの生合成を促し、細胞を生産、再生するサポートをします。妊娠初期は、赤ちゃんの細胞分裂が盛んに行われる時期で、脳や脊髄などの重要な器官が形成されます。葉酸が不足していると、これらの器官が形成されず、神経管閉鎖障害を起こしやすいといわれています。つまり、赤ちゃんの成長に、葉酸は重要な栄養素なのです。妊婦さんが葉酸を摂取することで、胎児の先天異常である神経管閉鎖障害のリスクを70%も減らせることが判っています。

 神経管閉鎖障害には、無脳症と二分脊椎症があります。
・二分脊椎症になると
 脊椎の管の中にあるべき脊髄が、何らかの理由で脊椎の外に出て癒着したり、損傷したりし、神経に様々な障害を引き起こします。障害が発生した部位から下の運動機能と知覚が麻痺します。内臓の機能にも大きく影響を及ぼし、下肢の運動障害や排泄障害などがあらわれるおそれがあります。また、水頭症の発症率が90%もあり、手術しなければ、脳障害が出てしまうともいわれています。
・無脳症になると
 両側大脳半球が欠損した状態で、脳が成長しないので、生命維持活動が困難になります。多くが死産か生後数日または数週で亡くなってしまいます。

妊娠中期・後期に摂取するメリット

 妊婦さんによっては、妊娠初期だけでなく出産まで、葉酸を継続して摂取するように指導されます。妊娠中は、母胎から赤ちゃんに優先的に血液が届けられるため、妊婦さんは貧血になりがちです。鉄分が不足すると鉄欠乏性貧血に、葉酸が不足すると巨赤芽球性貧血(悪性貧血)になるといわれており、鉄分と葉酸を摂取することで貧血を予防できるのです。

産後に葉酸を摂取するメリット

 母乳は血液から作られるので、授乳中のお母さんは貧血になりやすいです。赤ちゃんに母乳を通じて栄養をしっかり届けられるように、また、お母さんの体調を整えられるように、産後も葉酸の摂取を続けましょう。

葉酸の一日の摂取基準

 葉酸の一日の摂取基準をみていきましょう。

摂取基準

 日本人の食事摂取基準(2015年版)によると、葉酸の一日の摂取推奨量は240㎍とされています。妊婦さん、妊娠を希望している女性は、この摂取推奨量に240㎍を追加摂取することが推奨されています。つまり、2倍の480㎍を摂取すると良いということですね。

 何故、妊娠を希望している女性にも葉酸を摂取するように推奨されているのかというと、妊娠検査薬などで妊娠が判明するのが妊娠5週目だからです。妊娠4週では、妊娠検査薬や診察でも妊娠を確認できない時期ですが、受精卵が子宮に着床するとすぐに、細胞分裂が始まります。妊娠が判明する前から、葉酸を摂取しておくことで、赤ちゃんのために母胎の環境を整えられるのです。

上限摂取量

 葉酸が身体に良い栄養素だからといって、過剰に摂取してはいけません。厚生労働省では、葉酸の一日の上限摂取量は1,000㎍と定められており、葉酸を過剰摂取すると、吐き気や不眠、むくみなどを引き起こすといわれています。

 また、ビタミンB12が不足している人が、葉酸を過剰に摂取すると、ビタミンB12の欠乏によって引き起こされる病気の発見が遅れてしまうおそれがあります。食事だけでは過剰摂取の心配はありませんが、サプリメントで葉酸を摂取する場合は摂取量に注意しましょう。

葉酸を多く含む食品

 葉酸は、緑黄色野菜や肉類、牛乳などに多く含まれています。特に、葉酸という名前の由来になっているほうれん草には100gあたり210㎍も含まれています。しかし、葉酸は水溶性ビタミンのため、水や熱に弱く、食事から摂る場合、体内吸収率は50%程度といわれています。栄養が失われないように、熱を使わずに食べられるものを選ぶといいでしょう。いちご2パックには、90㎍の葉酸が含まれています。つわりで食べられない、料理できない妊婦さん、育児に追われて料理できないお母さんも、いちごであれば洗うだけで食べられるのでおすすめです。

まとめ

 妊娠中に葉酸を摂取するメリット、一日の摂取基準、多く含む食品を紹介しました。

 細胞分裂が盛んに行われる胎児の成長に、葉酸は欠かせない栄養素です。妊婦さんが葉酸を摂取することで、胎児の先天異常である神経管閉鎖障害のリスクを70%も減らせることが判っています。また、妊娠中は、母胎から赤ちゃんに優先的に血液が届けられるため、妊婦さんは貧血になりがちですが、鉄分と葉酸を摂取することで貧血を予防できます。妊婦さんの葉酸の一日の摂取推奨量は480㎍です。葉酸は水溶性ビタミンのため、水や熱に弱く、食事から摂る場合、体内吸収率は50%程度といわれているので、調理方法に注意しましょう。葉酸をしっかり摂取して、赤ちゃんの成長を応援しましょう。

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