後天性内斜視とは?見え方、原因、治療法と予防法

 2019年2月にはスマホの普及率が85%を超えるほど、スマホは私達の生活に欠かせないアイテムとなっています。

 一方で、スマホが若者に普及し始めた2014年頃から、後天性内斜視を発症して眼科を受診する若者も急増しているのだとか。スマホの利用と内斜視の発症には何か関係があるのでしょうか。

 そこで、後天性内斜視の見え方、原因、治療法と予防法を紹介します。「最近、景色や文字が見えづらくなった・・・」と感じている方や「最近、子どもの目の様子がおかしい・・・」と感じているお母さんは是非参考にしてください。

後天性内斜視とは

 後天性内斜視を、「内斜視」と「後天性」の2つの単語に分けて考えてみましょう。

内斜視とは

 文字を読んだり、景色を見たりする時に、私達の両眼は通常上下左右に動きますが、内斜視は右眼と左眼のうちどちらか片眼が内側に寄る状態を指します。

 私達の視野は両眼で120度といわれています。また、右眼を右側に動かしたり、左眼を左側に動かしたりすることで、視野を180度まで広げられます。つまり、内斜視を発症して、両眼を外側に動かせなければ、界が狭くなってしまうのです。そのため、自分の真横にある物を見る時には、顔を物がある方向に向けなければいけません。

後天性とは

 生まれつきもっている病気や障害を指す「先天性」という言葉に対して、「後天性」は生まれた後にある原因によって現れる病気や障害のことをいいます。

 つまり、後天性内斜視とは、生まれた後にある原因によって発症する内斜視を指します。

後天性内斜視の見え方

 私達は眼球を内側に向ける「内直筋」と外側に向ける「外直筋」を動かして、両眼の視線を合わせています。しかし、内斜視を発症すると、内直筋が収縮したまま動かなくなり、両目の視線を合わせられなくなって、物が離れて二重に見えるようになります。

 物が二重に見えると聞くと、乱視を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。確かに乱視になっても、物は二重に見えますが、内斜視と乱視の見え方は大きく異なります。乱視は片眼でも二重に見え、物と物がなんとなく重なって見える程度ですが、内斜視は両眼で二重に見えるため、乱視に比べて横幅に見えてしまいます。

 例えば、横断歩道が横幅に見えるため、実際には歩道がない場所を歩いてしまうおそれがあります。また、人の顔が横幅に見えるため、違和感でストレスがたまり、会話している時に相手の顔を見たくなくなります。

若者の後天性内斜視の原因

 後天性内斜視を発症する原因はさまざまで、交通事故や生活習慣などによって発症する方もいらっしゃります。しかし、近年、10代や20代の若者、中には5歳未満の子どもまでもが後天性内斜視を発症しているのです。5歳未満の子どもなんて、生活習慣が身につき始める頃ですよね。何故、若者や子どもを中心に後天性内斜視が流行しているのでしょうか?

 実は、後天性内斜視には、スマホの不適切な扱い方が大きく影響しているといわれています。30代以上のほとんどの方は、スマホを使用する前にガラケーやパソコンを使用したことがありますよね。電話やメール機能が中心のガラケー、大画面のパソコンを使用したことがある30代以上はデジタルデバイスの正しい扱い方に慣れています。しかし、10代や20代は初めての携帯電話やパソコンの代替品としてスマホを使用する方が多く、SNSやゲームアプリに熱中する傾向があり、スマホを適切に扱えていないのです。

 スマホによって、若者が後天性内斜視を発症する主な原因は次の2つです。

スマホ画面と顔の距離が近い

 スマホを使う時間が長くなり、熱中し始めると、スマホ画面と顔の距離がどんどん近付いていきます。中には、スマホ画面と顔の距離が15cm未満の方もいらっしゃるほどです。近い物を見る場合、両眼が内側に寄るのですが、スマホ画面を近くで長時間見ることで、両眼が内側に寄ったままになります。

指で文字の大きさや位置を変えられる

 紙媒体の本を読む時に、私達は両眼で文字を追って読みますよね。しかし、スマホは指2本で文字の大きさを変えたり、指1本で文字の位置を調整したりすることができるので、両眼で文字を追う必要がなく、筋力が衰えてしまいます。

後天性内斜視の治療法と予防法

 後天性内斜視の治療法と予防法を紹介する前に、内斜視を発症しているかどうかを自己チェックしましょう。

 次の2つの方法から、自分で判断することができます。

① フラッシュをたいて、写真撮影する
 眼がフラッシュを浴びた時に、フラッシュの光が瞳の中心にあれば、内斜視を発症している可能性が低いです。一方、光が瞳の外側にあれば、内斜視を発症している可能性が高いです。
② 5m先の景色を撮影して見比べる
 5m先の物を写真撮影し、両眼で実際に見える景色と写真を見比べてください。見え方が大きく異なる場合は内斜視を発症している可能性が高いです。

治療法

 後天性内斜視の治療法は、内斜視がどれぐらい悪化しているかによって異なります。

 軽度の内斜視であれば、スマホの使用時間を制限する、スマホの画面と顔の距離を適度に保つなど、スマホの使い方を含めた生活習慣を見直す指導から始めます。スマホを適切に使用しても、内斜視が改善されない場合には、プリズムメガネを装着して、視界を調整します。

 中度、重度の内斜視であれば、ボトックス注射を打って、内直筋を緩めたり、手術をして、内直筋の位置を変えたりします。手術と聞くと、とても大がかりな印象を受けるかもしれませんが、手術時間は30分程度で、費用は15,000円(保険適用)です。

 ボトックス注射を打ったり、手術をしたりして、内斜視を改善できたとしても、治療前と同じように、スマホに顔を近付けて画面を見ていては、再び内斜視を発症してしまいます。治療後は予防に努めましょう。

予防法

 後天性内斜視を予防するには、スマホを適切に扱うことが大事です。

 具体的には、

・スマホを30分使用したら、目を10分休ませる
・スマホの画面と顔(目)は30cm以上離す
・スマホを30分使用していなくても、目が疲れてきたと感じたら、スマホの使用をやめる
・明るい部屋でスマホを使う
ようにしましょう。

 また、お母さんやお父さんなど、周りの大人が子どもにスマホの正しい使い方を教えてあげることが大事です。子どもにスマホを正しく使ってもらうためには、まずは大人がスマホを正しく使って、子どものお手本になる必要があります。子どもから「だって、お母さんはスマホをずっと使っているじゃん!」、「お母さんだけずるい!」と指摘されないよう、大人もスマホの使い方には注意しましょう。

まとめ

 後天性内斜視の見え方、原因、治療法と予防法を紹介しました。

 内斜視を発症すると、物体が二重に、また、横幅に見えるため、日常生活に支障をきたします。後天性内斜視を発症する原因は、スマホを適切に扱えていないことにあります。

 後天性内斜視の治療法には、プリズムメガネを装着して、視界を調整したり、ボトックス注射を打って、内直筋を緩めたり、手術をして、内直筋の位置を変えたりするなど、さまざまな治療法がありますが、治療前と同じように、スマホ画面を近くで長時間見ていては再発してしまいます。スマホを使う時間を制限する、目が疲れたらスマホから目を離す、明るい部屋でスマホを使うなど、スマホを正しく扱えているか意識するようにしましょう。

 子どもにスマホを持たせているご家庭では、お母さん、お父さんが子どもにスマホの正しい使い方を教えてあげてくださいね。

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